

香帆里さんのお祖母様は「ミニマリストで、ものを大切にして丁寧に扱い、いつも部屋を磨き上げている人」。その生き方を好ましく思った香帆里さんも、「片付けが苦手な母親からは、捨てすぎじゃない? と言われるくらい、整理整頓を心地よく感じる子ども」でした。
しかし大人になり結婚して家族ができると、思う通りにはいきません。家が整わないことへの苛立ち、家族であり続けることの大変さに次第に追い詰められていき……。香帆里さんは「本当に大切にしたいのは子どもと自分自身」だと気づき、人生を変えるために夫との別れを決断。子どもたちと一緒に築35年の団地に引っ越しました。そして、自分と同じように悩みを抱える人に寄り添う「片付けトレーナー」として、新たなスタートを切ったのです。
「今いる場所やものに不満を感じるのではなく、ありがとうと感謝の気持ちをもつと、自分のことも大切に扱えるようになります。私も以前は不安や不満ばかりでしたが、この古くて狭い家を自分を応援してくれる最高の家にしよう! と考え、感謝しながら整えました」と香帆里さん。
暮らしを整えるにはものを減らさねばなりませんが、そのために一番大切なのは「未来を設定すること」。自分と向き合い「10年後にどうなっていたいのか」を明確にすると“自分軸” ができ、不要なものが見えてきます。「“整えて快適になったら、もっとご機嫌でいられるんだ”とわかり自分の可能性を信じられると、人は動き出せるものです」
いざ、片付けを始める際には「ここを1時間、こちらは2時間」と、時間を決めるとよいそうです。「時間内に全部終わらなくても大丈夫。次はこれくらいだなと想定できるようになり、できたことで自己肯定感が育ちます。また、1週間で終えるなどゴールを決めるのもおすすめです」
香帆里さんは子どもたちに片付けさせる時には、主導権は握りつつ、自分たちで考えさせます。「大切なもの/売るもの/卒業するもの」という3つの箱をつくり、「15分で決めて!」と短く時間を区切って分類させ、売るものはすぐにネットのフリマなどで販売し、子どもたちのお小遣いに。子どもたちも手放すことが苦ではなく、楽しくなったようです。
「片付けは自分をご機嫌にするためのもの。そのせいで苦しんではいけません。私は“他人にはなれないが、自分史上最高にはなれる”という言葉が好きですが、それは部屋も一緒。他と比べず、どんな部屋でもその最高を目指せばいいのです。私は今ここで幸せを感じており、皆さんにも“どんな場所でも幸せはつくれるんだ”と知っていただきたいと思います」




① 賃貸なので、手を入れてよいのは原状回復可能な範囲内。床にクッションフロアを張ったくらいで改装はしていません。
② ミッドセンチュリーモダンが好き。お気に入りはデンマーク製のダイニングテーブル
③ 押入れの扉は全て撤去し、自作の棚なども活用してオープンシェルフのように使っています
④ みんなで使うものはリラックスルームの押入れにまとめて収納
⑤ 心と体を休める寝室には、寝る時に使うものと本だけしか置きません
⑥ 和室の畳はそのままに、カーペットを敷いて洋風にイメージチェンジ
⑦ 子どもたちの部屋の整理整頓は、基本的には本人任せ。散らかしても定期的に片付けているそうです

年代・職業:30代 片付けトレーナー
住居区分:団地(賃貸) 居住年数:5年
同居人:子ども2人

以前は都内の賃貸アパートで暮らしていたyumiさんご夫妻。「将来子育てをするならば、自然に近い場所がいい」と考え、都心部から離れた緑豊かな落ち着いた街に、一戸建ての平屋を新築することに決めました。お2人が家づくりで目指したのは、スタイリッシュで素敵なデザインはもちろん、「家事が楽になりすっきり片付くような設計」「ものの住所を決められる家」であること。そのため複数のショールームを巡って情報を集めたり、夫のSさんが建築デザインや設計について勉強したり。照明のIoT化、廊下なしの回遊動線と家事楽動線、隠し収納なども取り入れ、「コンパクトながら暮らしを整える要素をぎゅっと詰め込んだ家」ができあがりました。
完成したお2人の家は、ムダに動く必要がなく、楽に家事ができるように工夫されています。例えば、バスルームから脱衣所・ランドリールーム・ファミリークローゼットが一直線に並んでおり、脱ぐ・洗う・乾かす・畳んで片付ける、という流れがスムーズに。キッチン・ダイニングも横並びのレイアウトにして、大人が余裕をもってすれ違える広さを確保。複数人数でも、動きやすいつくりになっています。玄関やキッチンなど、雑多なものが多い場所には、無理なく常に整った状態をキープできるように、大容量の収納を設けました。
しかし、いくら優れた機能があっても、そこに住む人の力なくして家は片付かないもの。「夫は散らかっているのが嫌いな人で」と笑うyumiさんは、普段から整う暮らし方を心がけています。例えば食料は自分たちが必要な分だけ、収納場所に収まる分だけ揃えるように。「今日はここを片付けようかな」と場所を決めて、集中的に断捨離もします。さらに、ラブリコなどを活用して収納スペースを自作で追加。カゴや仕切りなどもうまく用いて、ものの居場所をつくっています。
まもなく2歳になる息子さんのおもちゃや本も、きちんと「住所」を決めて、その時に使うものだけに絞って出し、寝る前には必ず元の場所へ。また、「おもちゃのサブスク」や、家の近くにある、もの・ことをシェアできる施設なども上手に利用。遊びたい盛りの小さな子どもがいても、散らからない暮らし方を実現しています。
「親がロールモデルになって、息子にも片付け習慣がついていけばいいな」と考えている yumiさん。お2人のすっきり素敵な暮らしの整え方は、次世代に受け継がれていきそうですね。



天井高H=2650を採用。床貼りとLDKの木目調クロスの向きを同じにすることで広く見えるよう意識。配色はインテリアの黄金比70:25:5 をベースに、白×木目×黒茶系でまとめました

① 回遊動線の中心にIKEAのリルカーテンを三角垂れ壁にかけて優しい空間に
② 180㎝の造作壁。リビング側には薄型テレビを取り付け、裏側は3段の棚で収納に利用。上部を空けることで、リビングからは球体照明(通称お月様)が見え、視覚効果が印象的
③ キッチンカウンターとダイニングテーブルはあえて離し、動けるスペースをつくりました
④ キッチンに立った時にも見えるようダイニングの壁一面にホワイトボードを。息子さんの落書きはもちろん、旅行の企画や磁石等の知育遊びもここで完結できます
⑤ 屋外ではセルフ外構計画が進行中。BBQもできる、パーゴラのあるアウトドアリビングを2人で制作しています

年代・職業:30代(主婦)
住居区分:一戸建て持ち家 居住年数:4年
同居人:夫、子ども、トイプードル


